キリスト教って何 シリーズ(全12回)
「聖書は信頼できるの?」⑤
― 歴史学・考古学・写本の観点から ―
イントロ:
「聖書って、結局“宗教の本”でしょ?」
「何千年も前の話なんて、どこまで本当なの?」
これはとても自然な疑問です。
今日は
聖書は“歴史資料として見たとき、どの程度信頼できるのか”
を、冷静に見てみたいと思います。
① 圧倒的な「写本の数」
まず大切なのは、
私たちが読んでいる聖書が、どれほど正確に伝えられてきたかという点です。
● 新約聖書の写本数
- ギリシャ語写本:約 5,800以上
- ラテン語・他言語を含めると 2万4千以上
これは、古代文書の中で圧倒的に多い数です。
● 比較してみると
| 文書 | 写本数 |
|---|---|
| 新約聖書 | 約24,000 |
| ホメロス『イリアス』 | 約650 |
| カエサル『ガリア戦記』 | 約10 |
| プラトンの著作 | 約7 |
私たちはホメロスやカエサルを「伝説」とは呼びません。
学問の世界では、写本が多いほど本文の復元精度が高いと考えられます。
② 原本との「時間の近さ」
次に重要なのは、
原文が書かれてから、写本が作られたまでの時間差です。
● 新約聖書の場合
- 原文:1世紀
- 最古の写本:2世紀(約30〜50年後)
● 他の古代文書
- プラトン:原文から約1,200年後
- カエサル:約900年後
*新約聖書は
「書かれてから写されるまでの距離が、異常に短い」
これは、内容が改変されにくいことを意味します。
③ 他の歴史資料との一致
聖書は「聖書だけで主張している本」ではありません。
● 非キリスト教資料に出てくる人物
- ローマの歴史家 タキトゥス
- ユダヤ人歴史家 ヨセフス
- ローマ総督 ポンテオ・ピラト
これらはすべて、
イエスや初期キリスト教の存在を外部資料として記録しています。
イエスは「神話上の人物」ではなく、
歴史上に確かに存在した人物です。
④ 考古学が裏付けてきた聖書
かつてはこう言われていました。
「聖書は神話。考古学が進めば間違いが分かる」
ところが実際には逆でした。
● 例
- ダビデ王の実在(テル・ダン碑文)
- ヒゼキヤの水路
- ピラトの碑文
考古学は、
聖書を否定するどころか、
沈黙していた歴史を次々に確認してきた
のです。
⑤ では、聖書は「何の本」なのか?
ここが一番大事な点です。
聖書は、
- 科学の教科書ではありません
- 年表だけの歴史書でもありません
しかし同時に、
- 空想小説でもなく
- 後世の作り話でもありません
聖書は、
実際の歴史の中で、
人間が「神・命・善悪・生きる意味」とどう向き合ってきたかを記録した本
です。
まとめ
今日お伝えしたかったことは一つです。
聖書は、
「盲目的に信じるしかない本」ではない
歴史的にも、文献学的にも、考古学的にも、
真剣に読む価値のある書物です。
信じるかどうかは、
その先の話です。
まずは、
「読んでみる価値があるかどうか」
そこからで十分です。
次回予告(⑥)
「他宗教との比較①イスラム教」


